―ある日―
「遅いよ~さよ」

教室に入った途端、声をかけてきたのは友達のゆりあ。

無駄に明るくて世話焼きで、脱色した金髪がメチャ似合う好きなヤツだ。

「ん、はよ。いつもと変わんないよ、こんなん」
「てかオカ先、メチャ怒ってたよ?たまには出なよ英語」
「ここジャパン。ひっつよありまっせ~ん」
「誰だよあんたは!?」

けらけら笑う。
いつもどうりのクダラナイ会話。
楽しいけど、それだけ。

「さよ、昼どこ行く?」
「ん~ごめ、コンビニ行ってくる。買ってくんの忘れちった」
「もーヌけてんなぁあんたは。んじゃ非常階段にいるから」
「あ~い」

第二校舎(私らのクラスがある方)の裏門側の非常階段は、私らの特等席だ。
お昼と暇なときはダイタイあそこにいる。

ほとんど人の通らないいいとこなんだ。
< 4 / 106 >

この作品をシェア

pagetop