―ある日―
圭の行動(夏休み前)
「ただいま」
「おかえりなさい。今日は遅いのね」
「うん。帰りに先輩に会ってさ、一緒に飯食って来たんだ。母さん、これから仕事?」
「そうよ。今日は遅出なの。鍵掛けてくから圭、寝ていいわよ」
「わかった。いってらっしゃい」
リビングを出て階段を上がる。
「……圭!」
「何?」
「あっ……いえ、なんでもない。いって来ます」
「…うん。気をつけて」
母さんは、あの男がオレにどんな事をしているか知ってる。
いつもどこか申し訳なさそうな顔してオレを見る。
ぎこちなく、笑って。
でも結局、ああやって言い澱む。
放任なんだ。
結局、母さんはあの男が好きで恐くて何も言わない。
ずっと昔から。
オレは見放されてる。
知ってるから。
わかってるから。
もう、ガキの頃みたいに痛くない。
虚しいだけ。
だから、そんな面しなくていいよ。
それに……
それをオレに求めるのも、筋違いだろ。
無理だよ、そんなん。
ごめんね。
母さん。
オレは……
餓鬼だ。
「おかえりなさい。今日は遅いのね」
「うん。帰りに先輩に会ってさ、一緒に飯食って来たんだ。母さん、これから仕事?」
「そうよ。今日は遅出なの。鍵掛けてくから圭、寝ていいわよ」
「わかった。いってらっしゃい」
リビングを出て階段を上がる。
「……圭!」
「何?」
「あっ……いえ、なんでもない。いって来ます」
「…うん。気をつけて」
母さんは、あの男がオレにどんな事をしているか知ってる。
いつもどこか申し訳なさそうな顔してオレを見る。
ぎこちなく、笑って。
でも結局、ああやって言い澱む。
放任なんだ。
結局、母さんはあの男が好きで恐くて何も言わない。
ずっと昔から。
オレは見放されてる。
知ってるから。
わかってるから。
もう、ガキの頃みたいに痛くない。
虚しいだけ。
だから、そんな面しなくていいよ。
それに……
それをオレに求めるのも、筋違いだろ。
無理だよ、そんなん。
ごめんね。
母さん。
オレは……
餓鬼だ。