―ある日―
それから、オレは、勉強を頑張るようになった。

剣道を辞めて、勉強に打ち込んだ。

早く一人立ちして、この家を出て、安心させてあげなきゃ。

そう思った。


早く、大人になりたかった。


でも、しばらくして、あの男が本性を現した。

知られちゃいけない。

守らなくちゃ。

オレが黙ってさえいれば、こいつは母さんを守ってくれるし、母さんは笑っててくれる。

オレが素直にゆうことを聞いてさえいれば。

家ではやらないと言う約束で、オレはあの男の玩具になった。

苦痛だった。

でも、守らなきゃ!

母さんの笑顔だけでも………。

そう、思っていた。

オレが我慢すればいいだけの事。

そうすれば、笑っててくれる。

必死だった。

もう、あんな母さんは、見たく無いから。
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