―ある日―
ギッガギイィィ

ガッガンッ

倉庫の中にトラックを誘導して、扉を閉める。

それにしても……
デっかいトラック……これで街、出るの??

「リュウさん!」
「おう」

拳と拳を軽くコンッ、って合わせてる。
……洋画みたい。

「“リュウ”さん?」
「ああ、竜彦のあだ名みたいなモン。身内はそう呼ぶんだってさ」

額の汗を拭いながら言う。
…扉、そんな重かったんだ。

「大丈夫ですか」
「ん、ああ平気。体力は自信あるし、蒸し暑いからな」

パサパサとシャツであおぐ。
…男の子って、そうなのかなぁ。
体、細いのに。

「ケイ、小夜ちゃん」

竜彦さんが呼ぶ。

「紹介しとくよ、梅ッチとイトやん。元チームメイトだ」

「ども、梅田っス。よろしくっス」
「……伊藤です」

帽子をとって、深々とお辞儀をする“梅田”さんと、ぺこりとする“伊藤”さん。

この人達が、トラックの運転してるんだ。
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