―ある日―
「むしろ、ほらよ。ケイがいつ来んのか、確証も無かったから、銀行行ってないんでね。ポケットマネーで悪りぃけど、とっとけ」

ポケットから無造作に札を取り出す。

いや、待てよッ!!

「そこまでしてもらう分けには行かねぇよ」

「何言ってんだよ。これからだろうが。何があるか解らないんだ、んなとこで無駄に使うな」

それは……そうだけど…。

「ほいよ」

手に無理やり札を握らされる。

「…竜彦」

にっと笑う。

なんで、こいつは…赤の他人にここまで出来るんだ。
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