―ある日―
「ふぅ、終わった」

今日もいつもどうり学校が終わった。

委員はないし、本屋にでもよって帰るかな。
「さよ」
「ん?なに」

「あたしちょい部活の先輩に呼ばれてるから、悪い!さき帰って」

「うん。でもめずらしいね。なんかあんの?」

「ホラ、時期が時期じゃん?引継ぎとかのね。」

「そか。お疲れ」
「じゃね」

小走りで出てくゆりあ。
部活入ってると大変だなぁ。
私は帰宅部だから関係ないけど。

さぁてと、私も帰ろ。

校舎を出てグラウンドを眺めながら正門へ向かう。
運動部は暑くても寒くても元気だ。

「ん?」
私のだいぶ前に塚先輩の背中を見つけた。

間違いないあの猫背は塚先輩だ。
「塚先輩!」
小走りで近寄る。

一瞬、震えた?

何気ない動作で振り返る。
「…ああ、白井か」
どこか空を捕らえた目。なに?どうしたんだろ。
「先輩?」
「あっうん。なんでもない。今帰り」
「はい。先輩も」
「そう。途中まで行くか」
「はい」

ゆりあは習い事で剣道をやっていて、塚先輩はその剣道の先輩で、私はゆりあの試合に行った時に知り合った。

ゆりあと私にとっても兄貴的な人だ。
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