―ある日―
あ~、くそっ!!

「竜彦」

「ん?」

「…悪いな。こんな、全部……迷惑かける」

「何言ってんだ。こんなのお安いよ。俺はお前に借りがあるからな」

は??

「借り?竜彦がオレに?そんなんあったか??」

「そっ。ユダん時のな」

……ユダ?

「ユダって……ちょっまて!アレは貸しとかそう言うんじゃねぇって言っただろ?」

「ああ。でもケイのお陰で俺はブタ箱行かずにすんだんだし」

「あんなん、普通の事しただけじゃねぇか」

「お前はそうでも、命拾いしたのは、たしかだからな」

「んな、違げぇよ。あれは」

「あん時から決めてたんだよ。ケイがもし俺を頼って来るような事があったら、俺は全力で引き受けようってな」

やたら穏やかに笑う。

「お前なぁ……」

「ケイは全然人頼んねぇから、正直、うれしンだぜ?」

…なんつ~面だ。

頭抱えちまう。

「……はぁ~」

「そうゆうワケで、思いっきり頼ってくれよ」

ウインクしやがる。

「………こうゆう時だけ、先輩面しやがって」

「まっ先輩だからな☆」

「…………ったく」
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