―ある日―
………

「あっと、ケイ」

トラックに乗り込もうとしたらイキナシ呼ぶ。

「なんだよ」

「コレ、渡すの忘れてた。ほいよ」

首にしてたネックレスを外して寄越す。

オイオイ、待てよ!

「コレ、竜彦のお気に入りだろ?」

初めて会った時からしてた、少し変わった十字架のネックレスだ。

先の方が尖ってて、最初みた時、独鈷かと思ったのを覚えてる。

十字架にしちゃぁエラく東洋的だな、と。

「まぁな。でも色々と役に立つハズだから、持ってけよ」

首に掛けやがる。

「えっおいッ!!」

「言っとくが、ヤるんじゃ無いからな。後で返せよ」

目が本気だ。

本当にお気に入りなんだな。

昔から妙なとこ、こだわるからなぁ。

「ああ、わぁったよ」

コンッ

拳を軽く合わせた。

……………
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