私の親友
本格的に梅雨が近づき始め、ポツポツと雨が降るその日は、ロアと一緒に相合傘で帰った。
無差別殺人事件が続き、怖かったからっていうのと、ロアが傘を忘れたため。
ったく、学校もさっさと休校になりゃいいのに。
イメージダウンになるからとか何とかで、校長先生がなかなか休校どころか学級閉鎖にもしないらしい。
「只今帰りました」
「お邪魔しまーす」
「あら、レウちゃんおかえり~」
施設のお姉さんがピンクのタオルを持ってパタパタと入り口に来た。
「雨大丈夫だった?」
わしゃわしゃと私の髪を拭くお姉さん。
「んー、ちょっとしか降ってなかったんだけど、濡れちゃった。ロアにもタオル用意してくれない?」
言った瞬間、お姉さんの手が止まった。
「……ろあ……ちゃん?」
「うん、私の親友!
あれ、ロア連れて来るの初めてだったっけ?二人でひとつの傘に入ってきたから、同じくらい濡れてんの。」
隣にいるロアを手で指してお姉さんに頼む。
「あ、うん、……わかっ、た……」
お姉さんは何故か困った様な顔をしながら、タオルを取りに行った。
「なんか、いきなり来ちゃったから、お姉さんのことびっくりさせちゃったかな?」
「大丈夫だよ。ここにはいろんな個性豊かな奴が沢山いるから、一人くらい増えてもそんなにびっくりしないさ」