私の親友


 ―――なんだろう、この感覚……


 時々、心の中に違和感を持つことがある。


 合わないジグソーパズルのピースを、無理矢理捩じ込んでしまったような感じ。


 特に、ロアかリイチ先生と一緒にいるとき。


 まあ、両親が死んでからほとんどずっと一人だったから、逆に一人に慣れちゃって変な感じがするだけかもしれない。




 「レウ姉、レウ姉ってば!こぼしてるよ!!」

 「え?!わっ、やっば!」

 「床には溢れてないから、早く拭いちゃお!」


 ボーッとしていて、私はマグカップに注いだ麦茶を溢れさせてしまった。

 同じ施設の小三コンビが手伝ってくれる。


 「マコ、ミナホ、ありがと~」


 はぁ……


 やっぱりなんか上手く行ってない感じがするんだよね~……


 「……レウ姉、怖かった?」


 シンプルなカチュームがよく似合うマコが、ドングリみたいな目で私を見つめる。

 


 「は?何が?」

 「五年前の殺人事件の話だよ」


 ミナホが男らしい力強い目でマコに続いた。


 「……怖いなんてもんじゃない。恐ろしかったよ。目を開けたらバラバラになった死体が転がってるんだもん」


 ヒッ、とマコとミナホが怖気づく。


 「……私達、いつもレウ姉が悲しそうな顔してると、嫌なの」

 「レウ姉には笑顔でいて欲しいけど、そんなに怖かったんじゃしょうがないよね……」

 「あぁ……心配かけてごめんね、でも、それくらい父さんと母さんが好きだったから……」

 「そっかぁ」

 「マコもミナホもご両親の仕事の関係でここにいるけど、いつ何が起こるか分かんないからね。大切にするんだよ」

 「うん……ごめんね」

 「いや、私ももう成長しなくちゃいけないからね」



 そう。いつまでも過去に縛られてないで、変わらなきゃ。成長しなきゃ。


 マコとミナホが部屋を出たあと、私は静かに拳を握りしめた。

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