私の親友
海の中の幻
身体が剣で貫かれたように痛い。
無重力空間にいるように、身体がふわふわしてる感覚。
ゆっくりと目を開けると、口から吐いた泡が上へ上っていく。
目を動かすと、辺り一面、鮮やかな青。
(ここは……)
記憶が曖昧だ。
ぼんやりする意識の中、私は思考を巡らせる。
……えーと、私の名前は神谷 レウ。
そして私の親友の名前は香宮 ロア。
好きな人は……茂呂 リイチ先生。
思い出した。
私は……リイチ先生に首を絞められて殺されたんだ。
けど、私は意識がある……?
それとも、ここは死後の世界?天国?
死んだと思ってたけど、もしかして蘇生しちゃった?
……まぁ、この際どうでもいいか。
『レウちゃん』
(ロア!)
ロアが私を呼んでる。
上からだ。
長く美しい黒髪をくゆらせながら、ロアが手を伸ばしていた。