君のいいところ、1つしか思いつかない。
「あっ…そうよね、ごめんなさい…」
ショックを受けたように俯く先生に、早くも後悔した。
「っ、失礼します」
それでも止まらなかった言葉に、完全に自己嫌悪。
早歩きで先生の横を通り過ぎて、階段を駆け下りた。
「あーもう…」
じわっと浮かぶ涙。
何で、先生は何も悪くないのに…。
だけど、悔しかった。
先生の方が蓮のこと知ってるのに、蓮に愛されてるのに…。
だってあたしは、どうしたって蓮の特別になれないのにー…。