君のいいところ、1つしか思いつかない。





と、パッと振り返った蓮と目が合う。


泣きそうなあたしを見て、いつもみたいにふっと笑ってくれた。







「晴ぅー!めっちゃくちゃカッコ良かったよ!」
「お疲れ様ー!」



わあっと女の子達に囲まれる晴は、疲れたのかコートに座り込んでいた。


Tシャツをパタパタして、髪を掻き上げる。




「……だっせぇ…」




そう呟いた表情は、悔しそうに、切なそうに歪む。


女の子に渡されたペットボトルの水を半分くらい一気に飲んで、



「あーもう、疲れた」




いつもは基本的にニコニコしてて、だから、不機嫌そうな晴は初めてかもしれない。



「晴?どうしたの?」
「疲れたのー?」



タオルを肩からかけて体育館から出て行くその背中は、何だか寂しそうだった。






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