君のいいところ、1つしか思いつかない。
その目はあたしを見てるし、あたしに向かって話してる。
だけど足の上に乗せた女の子の髪をくるくる巻き付ける指はそのまま。
「晴、だれー?」
少しムッとしたようにこっちを見た女の子は、あたしよりもかなりメイクが濃いけど、それでも可愛い。
「んー、何だろうね、知り合い?」
晴のその言葉に、何故か傷付いた自分がいた。
知り合い。
たしかに、それ以外の何者でもないと思う。
だって、知らない人ではないし。
友達かって言われたら、よくわからない。
あたしだって誰?って聞かれたらきっと知り合い以外に答えられない。
…それでも、晴に言われるのは嫌だった。
晴の中であたしは、その程度の存在なんだね、なんて思ってしまって。