君のいいところ、1つしか思いつかない。





「…んだよ、急に」


「えー、いいでしょ?」



「…しょうがねぇな」






そう言った晴は、女の子の顎を掴んで自分の方に寄せると、顔を近付けた。



その手つきが慣れてるから。

2人の雰囲気が色っぽいから。

大人っぽくて、あたしの知らない晴がいたから。




涙が出たのは、びっくりしたからだ。



驚いて涙が出ることって、あるじゃん。






そんな必死な言い訳を探して、2人から見えないよう後ろを向く。








< 157 / 296 >

この作品をシェア

pagetop