君のいいところ、1つしか思いつかない。
「…んだよ、急に」
「えー、いいでしょ?」
「…しょうがねぇな」
そう言った晴は、女の子の顎を掴んで自分の方に寄せると、顔を近付けた。
その手つきが慣れてるから。
2人の雰囲気が色っぽいから。
大人っぽくて、あたしの知らない晴がいたから。
涙が出たのは、びっくりしたからだ。
驚いて涙が出ることって、あるじゃん。
そんな必死な言い訳を探して、2人から見えないよう後ろを向く。