君のいいところ、1つしか思いつかない。
「…最低」
振り向かずにそう言って、階段に向かった。
頭に焼き付いた2人のキス。
あたしの知らない晴。
感情が全然読めなくて、遠いところにいるみたいで。
階段の途中に座り込み、息を整える。
「っ…」
最初から、そういう人だった。
彼女でもない人にキスだってできちゃう人なんだよ。
晴にとってあたしは、ただの知り合いだったんだよ。
あたしに近付いたのはただの気まぐれで、もう飽きたんでしょ?
そういう人、なのに。