君のいいところ、1つしか思いつかない。





「…な、なに?」





話したこともない結城くんに、そもそも存在すら知られている自信のない結城くんに、話しかけられた意味がわからなくて細いくせに背の高い彼を見上げる。





「紗月ちゃんさ、篠宮のこと好きでしょ」








唐突なその質問に、目を見開く。



「結城くんには関係ない」





「へえ…俺の名前くらいは知ってるんだね」





意外そうな顔をして、ジリジリと距離を詰めてくる結城くんに、少しずつ後ずさる。





ついにトン、と背中が壁に当たり、逃げ場をなくしたあたしを見つめたまま目を逸らさない結城くん。





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