君のいいところ、1つしか思いつかない。
「っ、ごめん、本当にごめんね…」
そう言いながらあたしの乱れたネクタイを直す晴の表情は、下を向いていて見えない。
だけどその声は震えていて。
「…ごめん」
もう1度、今度はあたしの目を見て謝った晴の目が泣きそうだったのは、あたしの見間違いだったんだろうか。
だけど意地っ張りなあたしは、歩いて行ってしまう晴の背中を追いかけることができなくて。
嫌い、なんて言い過ぎた。
晴は何も悪くない。
なのにどうして、追いかけられないんだろう。