君のいいところ、1つしか思いつかない。
苦いミルクティー
「…そっか」
日曜日、はーちゃんとカフェ巡りで来たお気に入りの店。
あたしはミルクティー、はーちゃんはホットチョコレートを飲む。
晴が好きだと報告したら、はーちゃんはそれだけ呟いた。
「これからどうするの?」
「…どうもしない。もう喋ってないし」
そう答えて、ミルクティーの半分残ったマグカップを置く。
「篠宮くんの時は頑張ってたのに?」
「…そうだけど…」
確かにそうだ。
蓮だって最初は鬱陶しがるだけで、それでもあたしはめげずに図書室に通って。
…でも、今回は。
「怖い…」
自分で思っていたよりも小さくなった語尾。
知り合いって言葉、逸らされた目、振り返らない背中、泣きそうな表情。
そのどれもがあたしの勇気を奪っていく。