君のいいところ、1つしか思いつかない。




「あれ、もしかして岸田紗月ちゃん?」



確か、隣のクラスの真耶ちゃん。
目立つ子だからあたしも名前は知っていた。



「そうだけど…」




「晴って紗月ちゃんのこと好きなの?
だから女遊びやめたの?」





真耶ちゃんのその言葉に、一瞬全員の会話が止まった。


「え、まじ?そうなの?」
「晴好きな人いたの!?」
「そういえば最近仲良かったよね!」




次々に言うみんなに、キュッと唇を噛む。



仲良かった、って過去形の言葉が、本当に小さなことなのに胸に棘みたいに刺さる。





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