君のいいところ、1つしか思いつかない。
「違う、何とも思ってないから」
そんな冷たい晴の声を、聞いたのは初めてだった。
みんなも同じみたいで、目を丸くしている。
「え、晴…?」
「…」
その晴の表情からは、何の感情も読み取れない。
それが本心なのかどうかすら分からない。
ただ、あたしにそれを確かめる…これ以上傷つく勇気はなかった。
“何とも思ってないから”
その言葉だけが何度も脳内で再生されて、あたしは何も言えなくて。
周りの女の子たちの気まずそうな顔すらも、今はイライラしてしまって。
この子たちは、あたしの知らない晴をたくさん知ってる。
きっと何とも思われてないなんてことはなくて、恋ではなかったとしても晴にとって特別な存在であることは間違い無くて。