君のいいところ、1つしか思いつかない。
「帰ろ、紗月」
突然そう言ったはーちゃんは、マグカップに残っていたホットチョコレートを一気に飲んであたしの手を引く。
あたしも慌ててミルクティーを飲んで、バッグを持ってはーちゃんに引かれながらレジへ向かった。
途中、一度晴を振り返ってはーちゃんは、
「…馬鹿なの?」
とだけ冷たく言い放った。
お金を払って、店のドアを出てから少し振り返ったけど、晴は今日一度もあたしの目を見なかった。