君のいいところ、1つしか思いつかない。






…ダメだ。






昼休み明けの古典の授業。


珍しく寝ていないあたしは、何をしているかっていうと頭の中は蓮と先生のことでぐちゃぐちゃで。



窓から雨が降り出しそうな灰色の空を見ながら、ため息をついた。






何もできなかった。


どうして、どうしてあたしは肝心な時に大切なことを言えないんだろう。




蓮が読んでいた本のページが進んでいないのだって気付いてた。


いつもよりたくさん笑うのだって、その笑いが本心を隠すための笑顔だっていうのも、気付いてた。





しかも古典の先生は三波先生で。




頭がぐるぐるする。






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