君のいいところ、1つしか思いつかない。




「…き、さーつーき!」




はーちゃんの声に、ハッとする。


「え、」



「帰らないの?」





慌てて時計を見ると、もう最後の授業が終わっていた。



…そういえば、さっきのは6時間目だったっけ?




「うーん…先帰ってて」



「…大丈夫?」


「うん!」






先に帰ってもらったはーちゃんを見送って、図書室に向かう。



まだ何を言うか決めてないけど、2時間考えても思い付かなかったわけで。



だけど、4階に向かう階段で足が止まる。




…あたしが何か言っても、無理させちゃうだけなのかもしれない。


無理に笑わせてしまうのかもしれない。



1人のほうがいいのかもしれない。




そう思うと一気に動かなくなってしまう足。




「はぁ…」



ダメだな、あたし。







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