君のいいところ、1つしか思いつかない。
「…大丈夫?」
突然、背中から掛けられた声に頭が真っ白になった。
息、苦しい…。
ゆっくり振り返ると、今日初めて交わった視線。
心臓を掴まれてるみたいだ。
「っ…」
話しかけてくれるなんて、思わなかった。
蓮に何か言いたいのに、どうしたらいいか分からない。
1人じゃ答えが出せない。
ぐるぐる、ぐるぐる回る頭の中。
「…そんな泣きそうな顔しないでよ」
「…」
「放っとけなくなるから」
そう言った晴は眉を下げて困ったように笑った。