君のいいところ、1つしか思いつかない。
「それだけ自分のことで一緒に悩んでくれる人がいるだけで、俺なら嬉しいけどね」
「え…」
「篠宮もそうだと思うよ」
その言葉に、心がふわりと軽くなった気がした。
そう…なのかな。
あたしでも蓮を元気付けられるのかな。
「…じゃあ、俺行くわ」
そう言って立ち上がった晴。
「ありがとう!」
その背中を見送りながら、いつの間にか元気が湧いてきて。
あたしって単純だな、って思って。
晴のこと、大好きだなって思った。
灰色の雲の隙間からは、少しだけ光が差し込んでいた。