君のいいところ、1つしか思いつかない。
いろいろ考えた結果蓮が出てくるまで待つことに決めたあたしは、昇降口の段に座った。
蓮は、前に進んだ。
あたしも進みたい、あと一歩。
晴に好きだって、言ってみたい。
どんな顔するんだろう。
だけどそんなあたしの気持ちを抑えつけるのは、本気になったら振られるっていう現実。
やっと、やっと少しだけ話せたのに。
また話せなくなるなんて嫌だ。
どんどん沈む心に、晴のことだけでこんなにも気持ちがくるくる変わるんだって気付いて、情けなくてまたヘコんで。
「紗月」
そんなことをしていると、不意に呼ばれた名前。