君のいいところ、1つしか思いつかない。





「蓮っ!」





パッと立ち上がる。




「え、と…どうだった?」




「告白はしなかった。
…けど、やっと心からおめでとうって言えた」





そう言う蓮の顔はさっきよりずっと晴れていた。


「そっか、良かった」


「紗月のおかげだな、ありがとう」






クールな彼が語る言葉はひとつひとつに重みがあって。


少ない言葉だからこそ、それが本心だって伝わってくる。






夕焼け色に染まり始めた空を見る蓮の眼鏡越しの表情は、今までで一番綺麗だった。




初めて会った時の、夕焼けに照らされた切ない顔も綺麗だったけど。



今の優しい表情の方が、ずっと好きだ。











< 208 / 296 >

この作品をシェア

pagetop