君のいいところ、1つしか思いつかない。
「蓮っ!」
パッと立ち上がる。
「え、と…どうだった?」
「告白はしなかった。
…けど、やっと心からおめでとうって言えた」
そう言う蓮の顔はさっきよりずっと晴れていた。
「そっか、良かった」
「紗月のおかげだな、ありがとう」
クールな彼が語る言葉はひとつひとつに重みがあって。
少ない言葉だからこそ、それが本心だって伝わってくる。
夕焼け色に染まり始めた空を見る蓮の眼鏡越しの表情は、今までで一番綺麗だった。
初めて会った時の、夕焼けに照らされた切ない顔も綺麗だったけど。
今の優しい表情の方が、ずっと好きだ。