君のいいところ、1つしか思いつかない。





「さっきここ来る時、空き教室にいたよ」





「えっ」






思わず昇降口の方を振り向く。


でも…。


そこまでしても踏み出せないあたしは、自分が思っていたよりもずっと臆病だったみたいだ。







「頑張れ」





その声とともに、あたしの頭にポンと触れた大きな手。





「っ、ありがとう」






振り返って蓮に向かって笑うと、あたしは晴のところに走った。








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