君のいいところ、1つしか思いつかない。
よく晴がサボっている空き教室。
「っ、」
ドアから中を覗くと、椅子に座って窓の外を見ている晴がいた。
どうしよう、やっぱり…。
怖い。
晴に、お前のことは好きにならないって言われたら。
もう目も合わせてもらえなかったら。
だけど、でも。
伝えるって決めたんだ。
勇気を振り絞って晴に話しかけようとした瞬間。
ガタッと立ち上がった晴と目が合って、心臓が止まりそうになる。
「紗月ちゃん…!?」
あたしもだけど、でも、それ以上に驚いているのは晴だった。
「あのね、話があるの…」
声が震える。
手も、足も震える。
ドキン、ドキン、と脈を打つ心臓がうるさくて。