君のいいところ、1つしか思いつかない。






よく晴がサボっている空き教室。



「っ、」




ドアから中を覗くと、椅子に座って窓の外を見ている晴がいた。




どうしよう、やっぱり…。



怖い。




晴に、お前のことは好きにならないって言われたら。


もう目も合わせてもらえなかったら。




だけど、でも。



伝えるって決めたんだ。





勇気を振り絞って晴に話しかけようとした瞬間。




ガタッと立ち上がった晴と目が合って、心臓が止まりそうになる。








「紗月ちゃん…!?」





あたしもだけど、でも、それ以上に驚いているのは晴だった。






「あのね、話があるの…」






声が震える。

手も、足も震える。






ドキン、ドキン、と脈を打つ心臓がうるさくて。








< 211 / 296 >

この作品をシェア

pagetop