君のいいところ、1つしか思いつかない。
「…あ、は…る…」
「晴ぅー!」
カキ氷を買ってこちらに戻ってこようとする晴にかけた言葉は、前から聞こえた高い声にかき消された。
「え、1人で来てるの?」
「うちらと回ろうよー」
きゃー、と嬉しそうに晴を囲む、キラキラした女の子たち。
…ピンクの浴衣が、よく似合ってる。
あれだけ可愛ければ、ちゃんと似合うんだな。
あたし、違う柄にすればよかった…。
あの子達の後になんか、見られたくない…。
「この浴衣、晴の好みかなぁって思って選んだんだよー!似合う?」
えへへ、と笑う彼女は、あたしが言えなかった言葉をサラリと口にする。
「あー、可愛い可愛い」
「もー、適当に言ってるでしょー!」
そんな2人は誰がどう見たってお似合いで。
晴の彼女があの子じゃなくてあたしだなんて、誰も思い付かないだろう。