君のいいところ、1つしか思いつかない。
花火大会の日。
駅は恋人同士、友達、家族など、たくさんの人たちで賑わっている。
「あ、晴!」
人混みの中でも何故か一直線に俺の耳に届くその声に、改札に目を向ける。
「っ…」
マジかよ…。
いつもの大人っぽい雰囲気とは違う、白地にピンク色の花柄。
そのギャップが、どうしたって俺の鼓動を加速させる。
ピンクに光るグロスも、巻いてまとめた髪も、白い首筋も。
「お、お待たせ!」
浴衣で走りにくそうに駆け寄ってくる紗月ちゃんに、ドキドキして直視できずに、パッと目をそらしてしまった。