君のいいところ、1つしか思いつかない。
振り返ると、大学生くらいの男の人が2人。
「これからカラオケ行くんだけど2人じゃつまんないしさ、一緒に行かない?」
「行こうよー、2人とも可愛いし!」
ぐい、と引っ張られた腕に、いたっ、と声が漏れる。
「離してよ…!」
「そんなこと言わないで、奢るからさぁ」
その笑顔とは裏腹に振りほどけないくらい力の強い腕に、急に怖くなる。
ちらりとはーちゃんを見ると、はーちゃんも同じのようで、大きな瞳には涙が浮かんでいる。
そのままグイグイと腕を引かれ、カラオケ店の自動ドアを通ってしまう。
どうしよう、逃げなきゃ…。
だけど、さっきから一向に腕の力は緩められない。
やだ、助けて…!
「4人、フリータイムで」
どうしよう、部屋に入ったらもう逃げられない…。
「やっ…」