君のいいところ、1つしか思いつかない。
赤いリップ、ピンクのグロス
「きゃっ、晴!?
どうしたのその顔!」
「痛そう〜」
「女絡みで殴られたとか?」
次の日の朝、廊下から結城くんが登校してきたらしい声が聞こえる。
腫れ、やっぱり残っちゃったんだ…。
キュッと心が痛む。
「結城くん!」
バッグから朝買った冷たい缶ジュースを出して、廊下に出る。
初めて自分から話しかけたあたしに、少し驚いた結城くん。
「あの、ごめんね…
良かったらこれで冷やして。
あと、何かお礼出来ることあったら何でもするから言って」
缶を渡して言うけど、周りの視線が痛い。
あんた晴の何なの?って、顔に書いてある。
「ふーん…何でも?」
ニヤリと意地悪に笑う結城くんは、クイっと口角を上げる。
え…。