君のいいところ、1つしか思いつかない。
「篠宮くん」
結城くんとデートすることになってしまった前日、金曜日の放課後。
3日ぶりに図書室に来たあたしは、懲りずに篠宮くんに話しかける。
「なんかね、数学の小テストが全然解けなくて赤点かもしれなくてね」
「やっぱり馬鹿なんだね」
「…やっぱりって何さ」
そんな会話すらも楽しくて、前よりも篠宮くんはたくさん喋ってくれるようになって。
ぽかぽかする日差しと本を読む篠宮くんに、幸せだなって思って。