君のいいところ、1つしか思いつかない。
「ここの訳って、これでいいの?」
「どこ?…うん、合ってる」
優しい篠宮くんの瞳と。
他の人よりも近い距離感と。
あたしが入り込めない空気。
ふと三波先生に目を向ける。
小さな顔に、華奢な体。
年上なのに少しだけ幼く見えるのは、目が大きくてくりっとしてるからかもしれない。
綺麗に紅くひかれたリップに、自分のピンクのグロスが子どもっぽく感じる。
サラサラの黒い髪は大人の女の人って感じがして。
それに比べて茶色に染めた自分の髪は高校生で。
品のある長めのスカートを見てると、自分の短いスカートは篠宮くんの好みじゃないんじゃないかって思って。