君のいいところ、1つしか思いつかない。
「…果歩とは、幼なじみだよ」
「えっ…」
ああ、だから、先生なのに敬語じゃないのか。
先生にはちゃんと敬語を使ってそうな篠宮くんが、どうしてって思ってたんだよね。
「果歩が教師になる前から好きで、去年俺の学校の教師になれるよって言われたんだ」
「そうだったんだ…」
でも、それって、篠宮くんにとってはどうなんだろう。
近くに居られるのは、同じ学校の方が嬉しいけど。
先生と生徒になったら、恋が叶う確率はかなり低くなっちゃうんじゃないのかな。
私の単純な思考回路なんかやっぱりお見通しみたいで。
「嫌だったよ。
…好きな人が自分の教師になるなんて」
どこか遠くを見るその横顔は、たった40センチくらいの間に距離を感じさせる。