君のいいところ、1つしか思いつかない。
腕を伸ばせば届く距離がもどかしい。
傷付いてる篠宮くんを慰められない自分が悔しい。
「…じゃあ、スマホも渡したし戻るわ」
そう言って立ち上がろうとする篠宮くんより先に立ち上がって、彼の前に立った。
「え、」
ポンポン、と篠宮くんの頭を撫でた。
「ヘコんだらあたしが慰めてあげるよ」
悪戯っぽく笑うと、思いっきり顔をしかめられる。
「絶対いらない」
「とか言ってちょっとキュンキュンしたでしょ?」
「本当馬鹿じゃないの」
へへっ、と笑う。
この方があたしらしいし、篠宮くんらしいと思った。