君のいいところ、1つしか思いつかない。
「ボーリングだ」
目の前にある建物の屋根には、大きなボーリングのピンが建っている。
そういえば久しぶりかもしれない、と少しワクワクしてきた。
自動ドアをくぐり、靴を借りる。
「こちらに名前お書きください」
そう言って渡された紙を結城くんから奪って、
『チャラ男』
と書き込んだ。
「ちょ、おい!」
慌てて紙を奪い返す結城くんは、あたしの欄に
『お姫様♡』
なんて書く。
「ちょっと!!完全にイタイ子じゃん!」
怒るあたしを見て、ははっ、と笑う結城くん。
その笑顔はいつもの笑顔とは違って、なんていうか、自然な笑顔だった。
いつもの完璧な笑顔じゃなくて、楽しそうに笑うと結城くんに、いつもこうしてればいいのに、って思った。