君のいいところ、1つしか思いつかない。
「紗月って何で篠宮のこと好きなんだっけ?」
「…秘密!」
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あれは、1年前。
私達がまだ1年生だったとき、忘れ物を取りに来た放課後の教室。
ドアを開けようとした時、中にいる人影に気付いた。
そこにいたのは入学早々7人の女の子の告白を冷淡に切り捨てたと有名な彼だった。
ドアを開けるのを躊躇って、もう1度教室を覗くと、もう1人に気が付く。
「…え?」
そこにいたのは、古典の先生だった。
まだ新人の、美人の先生。
男子の間でも話題になっている人だった。
ただの先生と生徒とは少し違う雰囲気を感じて、きっと聞いてはいけないって思ってた。
だけど、いつも冷たい表情しか見せない彼の、切なさとか、愛しさとか、そんな感情の混ざった表情が。
夕焼けが照らす、その横顔が。
何だか泣きそうになるくらい綺麗で…。
だから、目が離せなかった。
聞いちゃいけないって、わかってたのにー…。