君のいいところ、1つしか思いつかない。
バニラシェイクの甘すぎるバニラ味が口の中に残る。
「前の俺ならさ、諦めた方がいいって言うと思うんだよね。
そもそも恋なんかでそんなに悩むのは馬鹿だと思ってたし。
恋なんてさ、相手のことが好きな自分に酔ってるだけだろうとも思ってた」
結城くんの本心は、初めて聞いたような気がする。
いつもいつも作ったような笑顔とか、言葉とか。
だけどきっとこれは本心なんだって、結城くんの表情が言ってた。
「…でも、恋ってあるかもね。
後悔しないように頑張ればいいんじゃない?」
少し切なげなその顔に、違和感。
切なそうな理由がわからなくて。
もしかして結城くんも、片想いなのかな。
「そう、だよね…頑張る!」
よし、ともう一度バニラシェイクを飲むあたしに、
「…あー、応援したくなかったのに」
って小さな呟きは届かなかった。