君のいいところ、1つしか思いつかない。
「え、」
抵抗しようとした紗月ちゃんの動きが、俺の目を見て止まった。
少し赤くなる頬に、分かってるのに期待してしまう自分がいる。
もう一度触れた髪からは、風に乗ってシャンプーの香りがした。
そっと紗月ちゃんの頭を引き寄せて、自分の唇を紗月ちゃんの耳に近付ける。
「…晴って呼んでよ」
自分でも、何をしてるのかわからない。
コントロールが効かなかった。
ただ、ビクッと肩を震わせる紗月ちゃんが可愛くて、もっと見たくて。