君のいいところ、1つしか思いつかない。
「え、篠宮蓮?
たしか図書委員とかじゃなかった?」
次の日、はーちゃんに聞いた情報では篠宮くんは図書委員。
昼休みも放課後も図書室にいるらしい。
最初こそ女の子たちが篠宮くんに会いに行っていたものの、彼の冷たさが知れ渡ってからは誰も行かなくなったとか。
「図書室…」
「篠宮がどうかしたの?」
「うーん、ちょっと」
余計なお世話だし、お節介だって怒らせるかもしれない。
でも、なんていうか、うまく言葉にできないけど。
放っておけない…っていうか、放っておきたくない。
この心がふわふわするような、胸がキュッと締め付けるような、少し触れたら壊れてしまうような、この感情をそのままにしたくない。
私は財布を持って教室を出た。