【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
00.私の存在理由
仕方ないからそばにいる。ただそれだけだった。──それだけの、はずだった。
「……あいつ、どうだ」
病院の個室の扉に手をかけ──開けようとして、やめた。向こうから聞こえた言葉に無意識に耳を傾ける。
「咲乃(さきの)のこと……?」
咲乃……って。聞き覚えがあるし、こんな珍しい名前、間違えるはずもない。
私が生きてきた中で咲乃という人物はたったひとりしか知らない。
──間違えるなんて、ありえない。
「ああ。連絡がねぇからな」
「……大丈夫、みたいだよ。
関西のチームでトップやってるって」
「……それならいい」
〝関西のチーム〟
〝トップ〟
『羽歌(うた)……ごめん』
『ずっと一緒にいるって、言ったじゃない』
『ごめん……ごめんな。
どれだけ離れても、別れてもずっと愛してるよ』