【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
──今では慣れたようなものだけれど、初め幹部に選ばれたとき、僕は素直に喜べなかった。
だって、ほかにも僕よりひとつ年上の人はメンバーの中にたくさんいる。
その中でも、僕が選ばれて。ひとつ年上の幹部に、そう簡単に馴染めるわけもない。
まぁ、一応同じチームのメンバーなわけなんだけど。
「急に幹部になっても、馴染めねぇよな」
──そう言って、僕に一番優しく接してくれたのが乃唯ちゃんだった。
ほかのみんなも確かに優しかったけど。
──だから、僕は乃唯ちゃんに懐いていて。
幹部になったころに比べれば、だいぶ慣れた。
でもやっぱり、まだ完璧には馴染めてない。
なんでも言えるような関係ではない。
「梓?どうかしたの?」
「ううんっ、なんでもないよ!」
顔をのぞき込んできた羽歌ちゃんにそう言って微笑み返すと、彼女は「そう?」と静かに笑った。
──顔は瓜二つなのに、羽紗ちゃんとは似ても似つかないような微笑み方。花に例えれば、羽紗ちゃんはひまわりで。羽歌ちゃんは百合だと思う。