【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



いや、でも。羽歌ちゃんは桜かな。



美しいのに、どこか儚くて。ひらひらと舞う花びらのように、いつかは消えてしまうような、そんな存在。



淡い桜色は、彼女のイメージに合っている気がした。



「羽歌。

お前今日もいつもの時間でいいのか?」



ふと、みーくんが羽歌ちゃんに尋ねた。羽歌ちゃんは一瞬不思議そうな顔をして。そして口を開こうとしたとき。



「今日は俺が送るから良い」



「……乃唯」




──乃唯ちゃんが、口を挟んだ。



昨日まで包帯の巻かれていた腕にはもうそれはなくて、薄らとした傷跡のようなものだけが残っているけれど。



それもいずれ消えそうだから、傷跡は残らなさそうだなって思う。



「怪我ももう治ったし」



「……でも」



「元はといえば俺がやるべきことをお前が変わりにやってくれてたんだから」



──だから、俺が送る。静かにそう言った乃唯ちゃんに、なぜか違和感を感じた。



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