【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



部屋の中の時間が、ぴたりと止まってしまったように。夕咲ちゃんも稀沙ちゃんも、乃唯ちゃんを見つめていた。



「どういうこと……?

羽紗ちゃんのこと、好きだったでしょ」



「……羽紗と出会う前から、羽歌のことは知ってた」



「は……?」



「名前は知らなかったけど、な」



「っ、お前……!ふざけんなよ……っ!」



──そう言って、乃唯ちゃんの胸ぐらを掴んだのは夕咲ちゃんで。僕の中で、黒い何かが胸を圧迫していく。




ああ、最悪。僕のせい、だ。



「羽紗のことは全部遊びだったのかよ!」



──夕咲ちゃんが怒るって、わかってた。だって、夕咲ちゃんはずっと羽紗ちゃんのことを想ってた。



言わないけど、彼の優しさがそうだった。



いつも深夜や昼間に僕らのそばにいなかったのは、必死で羽紗ちゃんの行方を探すために情報を探していたから。



──羽紗ちゃんのことを、本気で守ろうと、探そうとしていたのは。



紛れもなく、夕咲ちゃんだった。



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