【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「羽紗、無事だといいけどな」
そう言って視線を落とす和泉。大嫌いだ、和泉なんて。
和泉だけじゃなく、乃唯も、ほかのみんなも。
──性格の良い、羽紗を好きになる。神無月という家柄に苦労させられたのは、いつだって私で。あの子は、苦労も何もしてこなかったのに。
『咲乃は、趣味が悪いわよね』
『なんで?俺は、ただ単に羽歌が好きなんだよ。
だって、いつだってひとりで抱えてきて、苦しんできたでしょ?』
そう言ってくれるのは彼だけで。私が愛したのも彼だけだというのに。
「羽歌、どうした?」
「なんでもないわ。
岬、帰りましょう?」
だからといって、どうしようもない。神無月の令嬢として、世界に名を広めているのは確実に私だ。世界から認められたのは、わたしのほう。
嫉妬したって、優れているのは私のほうなんだから。
あの子に嫉妬する必要なんてどこにもない。──そうでしょう?
羽紗はいつだって、「羽歌はすごいよね」と言っていた。
親にさえも認められている私は、きっと羽紗よりも価値のある人間なんだろう。──財界の人間にとっては。