【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



つまり。



「羽歌の名前も知らなかったから、

羽紗があの時の女だと俺は完璧に思い込んだ」



──それが、すべてのはじまりで。



一目惚れした乃唯ちゃんは、すかさず羽紗ちゃんを仲間に引き入れようとした。そりゃ、好きな女の子だったらしたくもなるよね。



「あの容姿で一目惚れっつったら、容姿に惚れたようなもんだから普通に文句言われても仕方ねぇと思ってる」



そして、羽紗ちゃんはめでたく乃唯ちゃんの彼女になり、姫となった。



──でも、徐々に乃唯ちゃんは違和感に気づく。




「〝ぶつかった女〟は、そのとき高いヒール履いてて、ぶつかった時にふらついた。

んで、すれ違った時に香ったから、香水つけてたのは、覚えてるんだよ」



「……羽歌ちゃん、お嬢様の活動してるときはよくヒール履いたり香水つけたりしてるもんね」



「でも、羽紗はコケるからってヒール履かなかったし、香水もつけなかった」



そんな違和感の連鎖が続いた、とある日。



「羽紗ちゃん、兄弟いるの?」



何気ないその質問で。



「わたし?

うーんとね、双子のお姉ちゃんがいるよ。──そっくりの、ね」



< 111 / 368 >

この作品をシェア

pagetop