【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「あ、のね、私……
結局、自分がどうなりたいのかわからなくて」
咲乃にそこまで未練がないのなら、私は次にどうすればいいのかわからない。ほかに誰も好きになれないのに。
「どうすれば、い──」
いい?と、紡ぎかけた唇が。
「な、にして……」
不格好に崩れていく言葉。目の前の彼はなんとでもないように「キス」と一言。
っ、キスって。だって、そんな。
幸いにもほかのお客さんからは見えにくい位置だし、店員さんも向こうにいるから見られてなかったみたいだけれど。
「俺と付き合えば?」
「え……」
「お前が誰のことも好きになりたくないのはわかってる。もう好きになるのが怖いんだろ?
でも、よく考えろよ羽歌」
付き合う気なんて、どこにもないのに。
「俺は自分が同じ目に遭ってる。
裏切られる痛みは俺が一番知ってる」
──ああ、どうしよう。私、きっとこのままじゃ。彼の言葉と優しさに押されて、頷いてしまう。